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2. なぜ書けないのか

なぜ英語で論文を書くのがそんなに難しいのでしょうか。日本人だから? 

違います。

もちろん、日本人にとって英語が母国語ではないということは確かに不利な点です。しかし、英語を普通に読み書きできるはずのネイティブにとっても、科学論文を分かりやすく論理的に書くというのはトテツモナイ試練なのです。はっきり申し上げますと、ネイティブ研究者の場合でも、分かりやすい論文を書ける人は少数派です(むしろ外国人の学生・教官に名文家が多いかもしれません)。実際に、アメリカ生まれアメリカ育ちの大学院生が書いた論文を何度か読んできましたが、エディターの視点から「編集なしでこのまま使える」と納得できた作品はほとんどありませんでした。書けていないのは学生だけではありません。P.I.(ラボ主宰者)でも同様です。過去に、あるアメリカ人教授の書いた論文原稿を読ませていただく機会がありましたが、これはもう目も当てられないというくらいひどいものでした。何を言いたいのか、論理的に話がどうつながるのか全く分からない文章で、これはプロとして非常にまずいなと思ったものでした。

そんなわけで、単に英語ができれば自動的に論文も書けるようになるというのは安易な思い込みなのです。この点は強調しても強調しすぎることはないでしょう。英語力は論文を書くための必要条件の1つに過ぎず、十分条件では決してありません。上で述べた英語ネイティブ研究者の例を考えればこの点は自明です。30年も40年も英語圏で暮らし、しかも高等教育を受けているはずの彼らでも論文を書くのは難しいのです。ましてや日本人が2〜3年の海外留学をした程度で論文が上手に書けるはずがないのです。

それに加え、大学院まで進学された方であれば、少なくとも基本的な英文法・英単語は頭に入っているはずです。そういった方に必要なのは、英語力そのものよりも、良い文章と悪い文章の違いを正確に知ることなのです。日本人であれネイティブであれ、この違いを理解していないからこそ上手に書けないのです。最悪の場合、自分が下手な文章を書いているという自覚もないまま成長の機会を逃してしまいます。英語論文マスターになるには、まず自分の文章がなぜまずいのかを知るところから始めなければなりません。もちろん、悪い文章の特徴は人それぞれ違いますから、全てのケースについて改善方法を提案することはできません。当サイトでは、日本人研究者によく見られる悪い文章のパターンの中から、特に深刻な症状を数点だけ選んで解説します。もし個別の診断を希望される方は、論文添削講座 の受講をぜひ検討してみてください。

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