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4.9. あなたは大丈夫? andとorの使い分け

また突然ですが、以下の2文を和訳してください。

I'll have chicken and beef.
I'll have chicken or beef.

「馬鹿にするなよコノヤロ」という声が聞こえてきそうですが、一応念のために説明しておきます。前者は「チキンビーフを食べます」となり、後者は「チキンビーフを食べます」という意味です。ちょいとandとorの違いを確認しました。中学1年生レベルの超初級問題です。楽勝でしたね。しかし、これらの接続詞を否定文で使った場合、みなさんはちゃんと和訳できるでしょうか。例えば、以下の2文を比較してください。

I can't eat or run.
I can't eat and run.

前者は「食べることも走ることも両方できない」(=全否定)という意味になります。一方、後者は「食べながら走ることはできない」という意味で、「食べるか走るか、どっちか片方ずつならできる」(=部分否定)というニュアンスが言外に含まれています。このように超基礎的なandとorの接続詞ですが、否定文で登場するとちょっとややこしいですね。英文添削をしていても、この点で混乱している方が頻繁に見受けられます。特に"both A and B"や"either A or B"を否定文で使う時は要注意です。もし「突然変異Xは細胞増殖にも細胞伸張にも影響を与えなかった」という意味の英文を作るとすれば、以下の2文のどちらが正しいでしょうか。

a. The mutation X did not affect both cell proliferation and cell elongation.
b. The mutation X did not affect either cell proliferation or cell elongation.

もうお分かりですよね。正解は(b)です。こちらが全否定に当たります。(a)ですと、「細胞増殖と細胞伸張に同時に影響を与えることはない」、すなわち「どちらか一方には影響を与える」という意味になってしまいます。このように、andとorを間違えるだけで意味が大きく変わってしまうのです。論文の中で否定文を使う際は、読者に間違った情報を伝えることのないよう正しく接続詞を使いましょう。

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